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Shimokitazawa Indies Fanclub

CROSSTALK #01

曽我部恵一
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星野 源(SAKEROCK)

送ったデモテープが「受け取り拒否」で返ってきて、めちゃくちゃ落ちた

曽我部 僕もアマチュア時代、なんとかデビューしたいなと思って、デモテープをいろんなレコード会社に送ったんですよ。で、送ったら、ほとんど「受け取り拒否」ってハンコが押されて返ってくるのね。

星野 あーー、それ、すごいショックですね。

曽我部 まぁ、普通の封書の値段で送ったから、料金がが足りないんで「受け取り拒否」なんだけど、なんかそこで、めちゃくちゃ落ちて(笑)。もう、俺たち無理かもしれない……みたいな空気が一瞬流れたりとかして。

星野 すごくわかります。

曽我部 学生の頃だから、21、2歳だったと思うんですけど、結構大変な時期でしたね。「お前、なんか全然上手くいかないじゃん」みたいなことを当時のメンバーに言われて。俺も「いずれ上手くいくよ」って言っても説得力がなくて……それでメンバーが辞めていったりしてね。

星野 僕はSAKEROCKやる前から、もともと歌うのは好きだったんですけど、自分の声が苦手だったんで、ちゃんと人前で歌うことが出来なかったんですよ。で、家で録音ばっかりしてて、そのデモテープを一時期いろんな会社に送ったことがあって唯一、返答があった人が一人いて、その人と会ったことはあるんですけど、また連絡するからって言われたのに何にも連絡がないし、こっちから連絡しても電話が通じなくって。それがすっごいショックで。もう業界の人とか、怖い!嫌い!って(笑)。それでもう、レコード会社とかに頼るのは辞めようって思うようになりました。SAKEROCKで一番最初に作った『YUTA』ってアルバムは自分たちでお金出して、一人でレコード屋に売り込みに行きました。その時、一番最初に置いてくれたのが下北沢にあるノアルイズレコードで、そこからすごく広がっていって……。

曽我部 あの絵がマンガっぽいジャケの? 俺、そのアルバムから聴いてますよ。ただSAKEROCKって名前を聞いたときはびっくりしましたけど、マーティン・デニー好きとしてはね(笑)。

星野 なんか、ノリで付けてしまったので、だんだん後悔してるんですけど(笑)

曽我部 (笑)でも、SAKEROCKを聴いた時、マーティン・デニーが云々というより、やっぱりオルタナティヴだと思ったんですよね。

星野 うれしいです。イースタン・ユースの吉野(寿)さんもそういう風に言ってくれて。初めてわかってもらえたような気がしたんですよね。それまで“癒し系”って言われてたんで。

曽我部 あー、なるほど。

星野 でも、僕も曽我部さん音楽の雰囲気っていうか、一見やわらかいし、すごくやさしいし、キラキラしているんだけど、その奥にあるものっていうのが、ロックスターみたいな香りがしたり、すごくギトギトしたパンクスみたいなニオイがするなぁって思ってて。実際はどうなのかわからないですけど、もしかしたらなんかジレンマとかあったりするのかな?って思って。

曽我部 うん。やっぱり以前はありましたよ、それは。サニーデイのときなんか、パンクバンドをやってるつもりでやってたから。。

星野 やっぱりそうなんですね。

曽我部 でもやっぱり、そうじゃない捉えられ方があるから。やさしい、日曜日の昼下がりに聴きたい音楽みたいなね。でも、こういう音楽をやるまでに至る、俺の気持ちはお前ら分からないんじゃん!って(笑)。まあ、そんなのは全然わかんなくていいんだけど(笑)。だから、それはたぶん、さっき星野くんの言ってたことと一緒だと思いますよ。なんかエキゾチックな音楽って今までもあったけど、SAKEROCKの音楽は、またそれと全然違うじゃん。

星野 そうですね。僕らの場合、それは最初から難しくて出来ないっていうところからはじまってますから。

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