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Shimokitazawa Indies Fanclub

CROSSTALK #04

TUCKER
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やけのはら
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古川太一(RIDDIM SAUNTER)

バンドっていう非効率的な作業の面白さがやっとわかってきた

──やけのはらさんがメンバーとして参加されているyounGSoundsのライヴも、バンドも客席も一緒くたになって蠢いてる感じを観ると、ライヴならではの不確定要素の魔力みたいなものを感じます。

やけのはら younGSoundsは、あんまりメンバー揃って練習出来ないんですよね。毎回誰かが間違って。ライヴ終わってから、なんか「アレンジ変わりましたね?」とか言われたりするけど、「あれ間違っただけです」みたいな(笑)。

TUCKER でもやっぱりね、ライヴはキチッとすべきだなあと思うんだよね。俺は。

やけのはら 今さらTUCKERさんがそういうこと言いますか?(笑)。

TUCKER 違う違う(笑)俺は自分の中ではホントにキチッとやろうとしてるんだけど……もっときちんキチンとしたいんだけどね。

──キチッとやっていても、どこかでエラーが入って来たり?

やけのはら エラーが面白いって言ったらなんか変ですけど、TUCKERさんのライヴを観に来てるお客さんは、たとえば毎回同じ曲をやっても、その都度また変化していくTUCKERさんを楽しんでるような気はしますけどね。

──それこそ、ライヴに足を運ぶ理由というか、その場でしか体験出来ないものを、生で共有すそういう。そういう感覚をyounGSoundsのライヴを観た時も、これはやっぱり現場にいないと、このすごさは感じられないんだろうなって思いました。やけのはらさんは、younGSoundsはどういう経緯で参加されるようになったんですか?

やけのはら less than TVの谷口(順)さんがやってたバンドの、もともと参加していたメンバーが抜けて、そこに僕やイルリメ(現在は脱退)とか僕とかが入ってっていう感じ。僕は昔からless than TVの人たちとかファンだったんで、ぜひやります、と。僕は高校生の時にバンドやってたけど、それ以降はまるまる10年ぐらい、打ち込みのグループとかDJしかやってこなかったんで。大人になってから久しぶりに5人とか6人で音を出してみて、バンドっていう非効率的な作業の面白さをやっとわかってきたというか。やっぱり人と一緒に音を出すのってすごく楽しいじゃないですか。バンドが5人いたとして、それが1ずつ足されるんじゃなく、0.2ずつ集まってひとつの音楽になるっていう。それはDJでは味わえない感覚なんですよね。DJだとお客さんと自分とのコミュニケーションになるけど、バンドだとなんか変な言い方だけど、ステージの上だけで楽しいっていう部分もあって。

TUCKER でも、それをみんなが観に来てるっていうのもあると思う。現場が共有してる、スリリングな関係を観に来てる。

古川 うん、そういうのが面白いんですよね。

やけのはら でも、そう思うとTUCKERさんはソロだから、エネルギーの使い方は、DJとかと近い感じですかね? お客さん対TUCKERさんみたいな。

TUCKER うーん。というよりも、機材と俺みたいな?

やけのはら なんで機材と0.5ずつになってるんすか(笑)。

TUCKER 僕の場合、機材との会話が結構多いよね。ライヴでも一人でいろんな楽器を使って……っていうスタイルでやってると、作曲する時も、どうループさせていくか?とか、ステージでの動きとか、曲として面白いかっでいうのが考えに入ってきちゃう。たとえば(家電の)ドライヤーをどうやって演奏に使おうか?ってあーだこーだ悩んでる時に、うちのカミさんから「普通に良い曲を弾くのがライヴなんじゃないの」って言われて、ちょっとああそうかって。たしかにその通りではあるんだけど、実際そうやってみると、やっぱり地味だった(笑)。結局自分で考えるしかないっていうね……でも、バンドもそういう悩みどころはあるんじゃない?

古川 どうなんですかね。僕らの場合は、普通になってきちゃったらメンバー同士で楽器を交替してみたりしますね。僕ら、高校生の時から一緒にやってメンバーもいるんで、みんなでやってることが普通になりすぎちゃうところもあって。だから、当たり前になるのを阻止しようと、あえて壊していってるのかもしれない。

TUCKER わりとそういう意味では、RDMもかなり変態なことをしてますね(笑)。面白いなって思ったのは、RDMがアルバムのリリース前かなんかに収録してる全曲を、ドラムとベースだけで50秒ぐらいの曲にまとめるって作業をしてるやつが、YouTubeに上がってて(『Days Lead』全曲演奏 Drum & Bass )。だから、普通の音楽じゃないの。5秒とか10秒おきぐらいで、ドラムとベースが全部変わっていくっていう。ジョン・ゾーンがやってた、20秒の中で30ジャンル演奏します、みたいな。たぶんそれを知らないで、同じようなことをやってるんだろうけど、それを観て「うわーっ!なにこれ!」って感激して。

TUCKER そうなんだ! あれ観て、斬新だなあと思って。一個の音楽としてなんかヘンなものになっている。

古川 まじっすか!? 初めて言われました!(笑)。あんまり話題に上がらなかったから、TUCKERさんにそう言ってもらえたのはめちゃくちゃうれしい! これやってる時からすごい面白くて、アイディア思いついた時なんか天才か!? って思ったぐらいなんですけど、YouTubeにアップしてみたら、再生回数が全然少なくて……。

TUCKER (笑)いやいや、俺はこれ観て「ウォーッ!やべぇ!」って。あれでグッときてくんないと困るよね(笑)。

古川 あの映像、最初はドラムだけで、次ドラムとベース、その次がドラムとベースとギター、で、最後に歌が入るバージョン……と、全部で4バージョンがアップされてるんです。

やけのはら うわっ、それめちゃくちゃマニアックですよ(笑)。

TUCKER まさに人力カットアップ! テープ編集するカットアップっていうのは、見たり聴いたりするほうも共有出来るスリルっていうのはないと思うんですよ。でも、俺があれを最初観て思ったのは、これは相当に練習したな。このくだらないことに対して、相当練習したはずだって思うと、それだけでもう笑える。あと(BPMが一緒だったり、決まったグルーヴがあるわけではない)秩序がないことをあえて人力で再現するのって、非日常的ですごくおかしいから、ああいうのを見てると手に汗握る感じはあるよね。

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